EBONY EYES4

鉄腕ガール感想文

彼女が欲しかったモノはなんだったのだろう?
戦後の日本でホステス紛いみたいなことをして、そのカンバンの座を捨て、
野球を始める、メキメキと頭角を表した彼女は日本を熱狂のウズに
巻き込む大スタアになった、スタア作戦の一環「日米決戦」
そこにいきつくまでにもいろいろなコトがあった、ダンナとの出会い、
妨害工作、ヤクザとの手打ち、様々な障害を乗り越えてでも
彼女が手にしたかったモノはなんだろう?お金?名誉?

彼女が欲しかったモノはなんだったんだろう?
ようやく始まった日米決戦、ドルが日本に流れることを恐れたアメリカは
強引に試合を中断、ダンナは来たる戦争のために米軍に連れ去られ、
ダンナの姉は詐欺師扱い、チームも解散させられて・・・
でも彼女は諦めなかった、何を?ダンナを?野球を?
単身アメリカに乗り込み、あの「日米決戦」をもう1度行うために
彼女は動く、金目当ての結婚、売名行為、新聞社の買収、
でも彼女はダンナの行方も解らない・・・

彼女が欲しかったモノはなんだったんだろう?
ようやく掴んだダンナの居所、しかし、ダンナの頭の中の情報を
恐れた米軍はダンナを廃人状態にしてしまう、絶望に立たされる彼女、
野球をしたかったのもそうだが、彼女はダンナの行方も知りたかった、
彼女は「死」を選んだ、「もう、疲れた」と・・
しかし、生存・・・ダンナはもういない・・
そんな絶望から救ったのは、もういないダンナからの手紙と、政略結婚相手と
彼女の間にできた子供・・・彼女の目には絶望は消えていた

彼女が欲しかったモノはなんだったんだろう?
3年後の出所、金もなく、世間的人望もなく、ダンナもいない
何も無い彼女に残されたもの、「仲間」「相手」(「敵」ではない)
大歓声も、ふりそそぐ金も、満員のスタヂアムもいらない・・・
彼女が欲しかったモノはなんだったんだろう?
もう彼女は手に入れてたんだよ、「仲間」も「相手」も「ダンナ」も・・・
ただ、手に掬った砂のごとくそれがいつまでも手に残らなかっただけ・・・・

時は流れて・・2002年東京・・・
この物語のもう1人の主人公鳥越はるかの葬儀、その孫ははるかに何を思う?